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Author:rekikyo
大阪大学歴史教育研究会の公式ブログです。
原則として事務局スタッフの記事を中心に週一更新、その他告知や参加メンバーによる投稿等があれば随時掲載します。

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2012年・新年の御挨拶に代えて

新年の正月ももう三分の一が過ぎようとしていますが、まずは明けましておめでとうございます。
本ブログの管理人をしております、特任研究員の岡本です。
本ブログも立ち上げから5ヶ月が過ぎ、何とか2年目を迎えることが出来ました。
日頃から本ブログの記事をお読みいただいている皆さまに、心より御礼申し上げます。

阪大歴教研では、研究会発足当初からウェブサイトを通じた活動内容の発信を行っておりました。
それに加えてこのようなブログを立ち上げるに至った経緯は、最初のエントリに書いた通りです。
実は毎週輪番でブログの記事を書いております阪大歴教研のスタッフにも、特に具体的な打ち合わせもないまま、歴史教育に関係するテーマなら何でも構わないから、とにかく書きたいことを書いてくれということでお願いをしております。
その結果、毎月の例会報告などを除けば、予想以上に様々な内容の記事が執筆されることとなりました。
コメント欄に投稿された熱のこもった御意見のお蔭もあって、順調な滑り出しになったのではないかと思っております。

その一方で、高校・大学に限らず、今の歴史教育の状況に対しての問題意識・危機意識が、様々な形で存在していることが、これまでの決して多いとは言えない記事の中から読み取れるのも確かです。
中村先生に御執筆いただいた前回の記事では、現状の歴史教育が生き残るためにどのような改革が必要か、日本学術会議の「歴史基礎」をめぐる議論の途中経過が紹介されています。
事務局スタッフの記事でも、最新の研究成果の紹介に加えて、バランスの取れた世界認識に近づけるための歴史からのアプローチや、ディベートなど「正解をただ暗記するのではなく、自ら考える力をつける」ための手法などに言及されています。
また、高橋先生の一連のコメントからは、現場の一教師の努力だけではどうにもならない構造的な問題の存在を窺うことができます。
これらはすべて、現在の歴史教育がそのままでは必ずしもそれを学ぶ側にとって有意義なものになっていないという問題意識・危機意識を出発点として書かれたものだと思います。

そういった中で、本ブログでも後藤さんが取り上げた羽田正先生の『新しい世界史へ――地球市民のための構想』(岩波文庫、2011年)が昨年末に刊行され、様々に反響を呼んでいます。
羽田先生の提唱される「新しい世界史」の構想は非常に魅力的ですし、歴史学研究者としては今後の自分の研究を見据える上でも示唆に富んだ内容であると思います。
ただ同時に、このような構想の「斬新さ」が、歴史教育の現場をこれまで以上に混乱させる可能性についても、やや不安に感じているところです。

これは私自身が東洋史を専攻したこともあるかも知れませんが、近代以降の日本の歴史教育というのは、実は現実社会から押しつけられた理想が先行してデザインされ続けてきたように思われます。
「東洋史」という科目の創設にしても、19世紀末における近代日本のアジア戦略に要請されたものと言えるでしょうが、その当時「東洋史学」という学問があったわけではありませんでした。
「東洋史」の看板が先に掲げられて、それから教科書が執筆されたり、大学での専攻コースが設置されたりと、突貫工事で用意されたという経緯があるわけです。
戦後の「世界史」についても然り。
その後多くの研究者や教師の努力によって、理想と現実のギャップは相当に埋められたとは思いますが、デザインそのものの不整合が残っており(もしくは顕在化してきて)、それが現在問題にされているとすれば、それは現場の問題と言うより、グランドデザインのあり方そのものの問題なのではないでしょうか。

そして、グランドデザインのあり方を見直す中で、歴史教育を取り巻く様々な状況を踏まえつつ、制度として歴史教育が円滑に進められるよう、相互にコミュニケーションを取り合いながら実践を積み重ねていくことこそが求められているように思います。
時代が移り変わり、社会が歴史教育に求めるものが変化していく中で、歴史教育の内実を絶えず刷新しつつ制度として機能させるためには、これまで以上にデザインする側・コンテンツを紡ぎ出す側とそれを実践する側(こういった役割はしばしば入れ替わりますが)の間のコミュニケーションを密にしていく必要があります。
こういった地道な作業を怠っていては、どんなに素晴らしい理想であっても、決して満足な成果を挙げることはできないでしょう。

本研究会にしても、このブログにしても、そのような地道なコミュニケーションを推し進めていくためのささやかな場でありたいと、少なくとも私は考えております。
もちろんその中では折に触れて、新しい研究成果や理解の枠組み、素晴らしい理想が語られることになるでしょう(これはこれで大切なことです)。
ただ、それらのデザインやコンテンツそのものより大切なことは、様々な立場からそれらのデザインやコンテンツが吟味されること、認識として共有されること、そしてもちろん実践されることです。
今年も様々な視点から、様々なテーマの記事が書かれることになると思いますが、お読みになる方々それぞれの立場からのレスポンスを頂戴できれば幸いです。

なお今年からは、研究会事務局スタッフ・阪大教員以外の研究会メンバーにも随時本ブログへの御寄稿をお願いしたいと考えておりますので、そちらの方も御協力をお願い申し上げます。(文責:岡本弘道(事務局))

テーマ : 歴史 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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