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Author:rekikyo
大阪大学歴史教育研究会の公式ブログです。
原則として事務局スタッフの記事を中心に週一更新、その他告知や参加メンバーによる投稿等があれば随時掲載します。

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ちがう視点からみるということ―57回例会に参加しての雑感

特任研究員の後藤敦史です。

2012年1月21日、本年最初の例会となる

第57回大阪大学歴史教育研究会例会

が開催されました。

青山学院大学の飯島渉先生からは、

「コロンビアン・イクスチェンジの環境史への含意」

というタイトルにて報告いただきました。勉強不足により、初めてお聞きするようなお話ばかりで、非常におもしろい報告でした。
コロンビアン・エクスチェンジ、つまり「コロンブスの交換」として、特にジャガイモやトマト、トウモロコシは歴史教育の現場でもよく取り上げられることの多い事例だと思います。僕自身、中学生の頃、先生がジャガイモを(わざわざ)持ってきて授業されていたことを覚えています。

さて、飯島先生の報告では、トウモロコシの事例が詳しく紹介されましたが、そのなかで、特に印象に残った言葉があります。農学者の言葉らしいですが、
「トウモロコシは、人間を利用することでその遺伝子を世界レベルに広めた」
という言葉です。
これは、基本的に「人間の歴史」を対象とすることの多い歴史学者には、なかなか思いつかない発想ではないでしょうか。どうしても人間を主語にして考えるために、人間がトウモロコシを世界規模で広めた、と考えがちです。しかし、トウモロコシの側からいえば、人間の手を利用して、種の世界規模での永存に成功したというわけです。

違う視点でモノを見る、ということは、歴史学に限らず、あらゆる学問の発展にとって重要なことです。
このことは、本例会後半の大学院生たちによる報告

「歴史人口学からみた日本の歩み」

とも密接に関わっています。
日本で歴史人口学の先駆けとなった速水融氏が、江戸時代の人口を検証する上で着目したのが、人別改帳、宗旨改帳という史料です。

戦後、日本近世史の発展を支えたひとつの大きな要因は、全国各地の村の古文書が精力的に調査されたということにありました。そのなかで、上記の人別改帳や宗旨改帳といった史料は、その村の当時の状況を再現する史料として補助的に利用されることはあっても、史料それ自体に着目されることはほとんどなかったといえます。現在でも、未整理の古文書の調査に着手すると、宗旨改帳などはよく見かける史料のひとつです。悪い言い方をすれば、要は、史料群のなかのよくある史料のひとつ、ぐらいの位置づけでしかなかったわけです。
ところが、速水氏はその宗旨改帳に着目し、誰もしたことのない全国規模での同史料の調査を実施することによって、日本近世における人口の動態を詳細に明らかにしてきました。そして、それは従来の江戸時代の、あるいは日本史全体のイメージを大きく揺さぶるものであったといえます。

歴史人口学は、従来あまりかえりみられることのなかった史料を、別の視角から分析することで発展してきた分野です。同様に、近年では日本近世史の分野で、宗旨改帳などと同じように「数ある史料のひとつ」ぐらいにしか考えられなかった「風説留」(世間の風聞や噂、あるいは出回っていた書類を書き留めたもの)に注目する研究が増えています。江戸時代に、人々はどのようなことに関心を持ち、どのようにニュースを得て、どうその情報を共有していたのか、ということが、詳細に分かってきたわけです。

「既成概念にとらわれない」―月並みな言葉ですが、僕も肝に銘じたいと思います。(文責:後藤敦史(事務局))

テーマ : 歴史 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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