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Author:rekikyo
大阪大学歴史教育研究会の公式ブログです。
原則として事務局スタッフの記事を中心に週一更新、その他告知や参加メンバーによる投稿等があれば随時掲載します。

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特別例会「羽田正著『新しい世界史へ―地球市民のための構想』合評会」報告

 皆様、大阪大学歴史教育研究会公式ブログにお越しいただき、誠にありがとうございます。本年度も、早2ヶ月余りが過ぎようとしています。ここ最近、世間は数百年ぶりの金環日食を盛大に取り上げていましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今回は、特任研究員の鍵谷寛佑(かぎたにかんすけ)が記事を担当させていただきます。今年度初めての記事になります、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回記事にするのは、4月7日に大阪大学豊中キャンパスで行われました、歴史教育研究会の特別例会「羽田正著『新しい世界史へ―地球市民のための構想』合評会」についてです。本来ならば、もっと早くに記事をアップする予定でしたが、遅くなってしまい大変申し訳ございません。
この会は、現在東京大学で副学長をされている羽田正先生を大阪大学にお招きし、弘前大学人文学部の中村武司先生、昨年度まで事務局で活躍された東京大学の後藤敦史さん、大阪大学文学研究科の中尾恭三さんと現在事務局員として活躍されている伊藤一馬さんの4名が、先生の今回の著作にコメントし、皆で議論を深めるという形で行われました。
羽田先生のこの著作に関して、すでに手にとって御覧になった方も多いかと思います。「現在私たちが学び、知っている世界史は、時代に合わなくなっている。現代にふさわしい新しい世界史を構想しなければならない。」(i頁)という点に、多くの教員が共感を覚えたことでしょう。羽田先生が指摘する「新しい世界史」とは、すなわち「地球社会の世界史」であり、「世界がひとつであることを前提として構想され、それを読むことによって、人々に「地球市民」という新たな帰属意識を与えてくれるはずのもの」(8頁)と定義されています。そして、「新しい世界史」を構想するための方法として3点が挙げられており、それはすなわち、(1)世界の見取り図を描く、(2)時系列史にこだわらない、(3)横につなぐ歴史を意識するという点です。特に、(2)の時系列史にこだわらないという点は、従来の歴史学に対する挑戦であり、「今の世界史でいい」といった指摘も、先のある会議で出たそうです。しかし、羽田先生が本書の中で、「だが、だからといって何もせずにあきらめてしまうことはないだろう。それは、歴史学の死を意味する。」(93頁)と指摘されているように、我々は「新しい世界史」を、これから歴史を学ぶ人たちのために創り出さねばなりません。
『新しい世界史へ―地球市民のための構想』が執筆された経緯として、ヨーロッパとアジアをはっきり区別し、それぞれを別の時空間と認識し、その時系列史、相互交換と影響を描くという従来の世界史理解に対して、「本当に、ヨーロッパとアジアは明瞭に区別されうるのか?」、「それは、「ヨーロッパ」の人々の世界観や歴史認識の投影なのではないか?」という羽田先生自身の問題意識があった、と発表の中で述べられていました。そのため、この著作には大きなメッセージ(マニフェスト)が込められています。
本書の内容に対して、「グローバル・ヒストリーとどう違うのか?」、「「地球市民」はいい加減な概念なのでは?」といった様々な意見、批判が寄せられましたが、羽田先生は、それぞれに対して、「グローバル・ヒストリーと言わず、あえて世界史という言葉を使った。「地球の上に人間がいる」という考え方であり、昔がバラバラで、現代が一体化された世界であることを強調したいわけではない。」、「「地球市民」は、「地球の上に生きている人々」というくらいの意味で、政治的なアイデンティティなどは含めていない。」とコメントされています。
私も、この「地球市民」という概念を、歴史を学ぶ人々に定着させることは難しいのではないかと率直な感想を抱きました。しかし、羽田先生が、「批判するのは容易いが、新しいものを創るのは難しい」とおっしゃられていたように、我々も次の時代に「新しい世界史」を伝えていくために日々努力していかねばならない、そう痛感した合評会だったと思います。
短くまとめてしまいましたが、まだ本書をお読みでない方は、是非とも手にとっていただきたく思います。これからも、より建設的な議論が出来るよう、歴史教育研究会は精進してまいりますので、皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
(文責:鍵谷寛佑(事務局))

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