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Author:rekikyo
大阪大学歴史教育研究会の公式ブログです。
原則として事務局スタッフの記事を中心に週一更新、その他告知や参加メンバーによる投稿等があれば随時掲載します。

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歴史教育研究会第62回例会参加記

 皆様、大阪大学歴史教育研究会公式ブログにお越しいただき、誠にありがとうございます。特任研究員の鍵谷寛佑(かぎたにかんすけ)が、今回の記事を担当させていただきます。四月の特別例会記以来、今年度二回目の記事になります、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回の記事は、7月21日(土)に大阪大学豊中キャンパスで行われました、歴史教育研究会第62回例会についてです。この例会のレジュメは、公式ホームページにアップされていますので、是非そちらもあわせて御参照ください。
 この会は、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程在籍で、日本学術振興会特別研究員(DC)の猪原達生氏に「中国・朝鮮のジェンダー―近世の宗族と女性を中心に―」というテーマで発表していただき、その発表に対して、青山学院大学文学部の青木敦教授と神田外語大学の豊島悠果先生にコメントをいただく形で行われました。
猪原氏は、はじめに唐から宋への移行期、すなわち中世から近世にかけての様々な変化(「唐宋変革論」)や、宗族(同姓の父系親族集団)について確認した上で、宗族が朝鮮やベトナムおよび琉球など周辺の「小中華」国家に様々な影響を与え、それぞれの地で、類似性を持ちながらも独自に発展したと指摘されました。
発表は、大きく第一部の「宋―明時代における宗族の成立と展開」、第二部の「唐代における家族と女性の問題について」に分けられ、それぞれに猪原氏の詳細な解説が加えられていました。
 紙幅の都合上、部分的な紹介に留めますが、第一部「宋―明時代における宗族の成立と展開」で特に気になったのは、①「家族」と「宗族」の定義が曖昧かつ研究上でも日中間に差があること、②中国における「同姓不婚」と「異姓不養」の原則(これは日本と大きく異なる)、③宋代の宗族は、特権が一代限りである科挙官僚制と小農社会によって、我々が世界史教科書から学び取る周代の宗族とは形を変えて再び出現したこと、④族譜(ぞくふ:父系親族集団の記録)、族産(ぞくさん:宗族の共有財産)、祠堂(しどう:別名族廟で祖先祭祀を行う場、宋代には一宗族にひとつの大廟)の重要性です。
 続く、第二部「唐代における家族と女性の問題について」では、①唐代においては宗族が未発達であったこと、②唐代における女性の地位は高く、家族の中では夫の嫡母が最も強く、離婚協議や再婚も女性からの申し出が一般的であったこと、③世界史教科書では一般的に悪いイメージを持たれている武則天(則天武后)が、新たな価値観を採用し、既存の儒教的価値観を打破したという立派な政治家としての側面が再評価されるべきこと、これらの点が非常に興味深かったと思います。また、補論では、唐代の宦官研究についての指摘があり、この発表をふまえた二つの問題、①一般に生家からは切り離される宦官に祀るべき「祖先」があるのか否か、②「宦官世家」の家の性格について触れられており、発表者である猪原氏の今後の課題が明確に設定されていました。
 猪原氏の報告を受けて、青木先生が、「宋の概念」の地域的・時代的差違、豊島先生が中近世朝鮮の親族関係と女性を主なテーマとして、コメントを付されましたが、中でも「輩行(はいこう)」について、活発な議論が行われたことが記憶に新しいです。
 「輩行」とは、同じ世代に属する人が、父系の名前の一文字や部首を取ったりすることで、どのようにしてその文字を決定するのかなど、不明な点もあるとのことでした。また近年では、中国社会におけるネットワークにおいて、「林氏の会」など同じ姓を持つ人々が集まって色々な相談を行う機会が設けられているようで、こうした点も中国の「宗族」を理解する手助けになるのではないかと感じました。
以上簡単にまとめてみましたが、家族関係が希薄と言われる現代日本社会をより良い方向へ導く鍵が、こうしたテーマにはあるのではないかとも痛感しました。
 最後になりますが、今年も残すところあとわずかとなりました。昨年同様、院生による課題報告もございます。是非ともふるってご参加くださいますよう、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。(文責:鍵谷寛佑(事務局))

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